今回はこのように疑問をもっていた私が、いろいろと本を探していた中で見つけた本を解説していきます。
本記事の内容
- 本の紹介
- 内容説明
- 学生視点で大事なところ
- 本書内紹介書籍
- まとめ
大学院に通い、研究をしながらブログを書いています。
こそあど(@ksad510310)と申します。
学生に必要とされている技術に文章力が挙げられます。
そこで検索したところ、「理科系の作文技術」という名著に出会いました。
検索時には、古くから知られており、素晴らしいとの意見が多数ですが、周囲の学生に聞くと、知らないという声が多いです。
そのため、学生に伝わるように説明していこうと思います。
本の紹介
本の紹介
「理科系の作文技術」 著:木下是雄
この本は、理科系の研究者・技術者・学生のために、論文・レポート・説明書・仕事の手紙の書き方、学会の講演のコツを具体的に記したものになります。
ひたすら簡潔に書くことを意識した書き方を教えてくれるとても学びの深い本だと感じました。
この作者の名前を始めて手に取ったときは全く知らない名前だと思っていたのですが、外山滋比古氏の「アイデアのレッスン」にて名前が出ていたことに気が付きました。
この本では、本記事とは別の話になりますが、「ロゲルギスト」と言われる物理学者が集まってまとめられた『物理の散歩道』についてほんの少し語られています。
その「ロゲルギスト」のグループにおける日本人物理学者の一人が木下是雄氏だと気づいて読んできた本のつながりに驚きました。
内容説明
内容説明
本書の内容について説明していきます。
本書では、
- 序章
- 準備作業(立案)
- 文章の組み立て
- パラグラフ
- 文の構造と文章の流れ
- はっきり言い切る姿勢
- 事実と意見
- わかりやすく簡潔な表現
- 執筆メモ
- 手紙・説明書・原著論文
- 学会講演の要領
の11章に区切られています。
全体を通して、常に意識されていたのは、「事実と意見」の違いを明確にすることが大事だという主張だと感じました。
- 序章では、学生が文章を書くにあたっての心構え
- 文章を書くためのアイデアを集める方法
- アイデアから文章を組み立てる方法
- 文章の集合をパラグラフとしてそろえていく方法
- 初めから終わりまでの全体の流れをそろえる方法
がメインの内容となり、その後は著者の表現や訂正法などをまとめた話でした。
学生視点で大事なところ
学生視点で大事なところ
一番学生視点でわかりやすいと思ったのは、4章の『パラグラフ』でした。
実際の学生が書いた例文を参考に著者が、より簡潔に明瞭に伝わるように書き換えていく方法を文字だけで説明されてわからない部分をわかりやすく、納得できる方法で伝えてくれています。
また、5章の『文の構造と文章の流れ』では、日本語と英語の違いに着目して日本語で文章を書くコツを述べている点は必読です。
少し引用すると、
日本語では、いくつかのことを書きならべるとき、その内容や相互の連関がパラグラフ全体を読んだ後ではじめてわかるー極端な場合には文章ぜんぶ読み終わってはじめてわかるーような書き方をすることが許されているらしい
英語ではこれは許されない。…
-理科系の作文技術 p. 76-
というような内容です。
なぜ、英語では許されないのか!?
ぜひ読んでいただきたいです。
このポイントが、実際に卒業論文や論文投稿などで添削される部分です。
私も、卒業論文を添削してもらったときにはたくさんの直しがされていて、振り返ってみると確かに重要な点だと理解できました。
そして、私が一番この本の沸点だと感じたのが7章の『事実と意見』でした。
アメリカと日本の教育の違いから事実と意見の区別が苦手な理由を説明しています。
現代の日本でも不毛な事実と意見の不一致から論争が起きていたりしますが、この区別がしっかりと認識できるようになると良い文章を記述することができます。
事実と意見の書き換えについて読んでみてください!
本書内書籍紹介まとめ
本書内書籍紹介まとめ
本書の中で、他にも参考になる書籍を紹介していたのでまとめたいと思います。
けれど、木下是雄氏が日本にはレトリックの参考書が少ないということで、紹介していたものの多くが外国の書籍のため高かったり、販売していなかったりしていました。
- E. P. J. Corbett: The Little Rhetoric
- W.R.Ebbitt and D.R.Ebbit: Writter’s Guide and Index to English, 6th ed.
- R.M. Gorrell and Ch. Laird: Modern English Handbook, 6th ed.
- R.Barrass: Scientists Must Write -A guide to better writing for scientist, engineers and students.
- N.A. Pickett and A. A. Laster: Technical English- Writing, Reading and Speaking, 2nd ed.
- S. Moss and C. Moss: The New Composition by Logic, rev. ed.
- 川喜田二郎:『発想法』
- A. J. Leggett: “Notes on the Writing of Scientific English for Japanese Phycists”, 日本物理学会会誌, 21(1966) 790
といったところです。
引用文献はたくさんありましたが、おすすめしていたもので川喜田二郎氏の書籍はこれから読んでみたいと思いました。
まとめ
まとめ
これから論文を書くという学生には一度は目を通していただきたい本となっています。
と思うような方は、読んでみてはいかがでしょうか?
きっと他の学生と差がつくような文章が書けるようになると思います。
ぜひ、本書で書かれていることを挑戦してみてください!
本書から得た学び
- 文章を簡潔に書くコツ
- 日本語で文章を書くときに気を付けるべき事
- 事実と意見の書き換えについて