本記事の内容
- 勉強を行う前の事前知識
- 考え方と押さえておきたいこと
- まとめ
社会人となって生活リズムを意識して働いています!
こそあど(@ksad510310)と申します。
前回、法令についての勉強方法を記事にしました。

今回は化学に関して、考え方やざっくり押さえておきたいことを説明していきたいと思います。
勉強を行う前の事前知識
勉強を行う前の事前知識
第1種放射性取扱主任者試験の化学ってどんなものかというと、
化学のうち放射線に関する課目
- 試験時間:1時間50分
- 問題数:五肢択一式 30問(30点)、多肢択一式 2問(30点)(60点満点)
といった内容です。
令和元年度から新形式になり、それまで物理・化学・生物の6問で構成されていた多肢択一式から2問が五肢択一式と一緒にされています。
これから勉強する人にとっては、時間配分が難しくて厄介な変更点ですね。
化学の問題の特徴点としては、
- 半減期や原子数、Bq数を求める計算問題
- 放射平衡に関する文章、グラフ、計算
- 壊変形式や核反応の正しい理解
- 天然放射性核種について(ウラン、トリウム、アクチニウム、ネプツニウム系列)
- 放射性核種の分離に関する化学的知見
- 年代測定に関する計算 などなど
細かく書くと結構きりがないくらいに分類すると、たくさんあります。
イメージとしては、五肢択一式に関しては、「計算半分 文章題半分」です。
多肢択一式は、放射平衡の段階的な式の穴埋めや、放射性同位体の多いものの区別(ヨウ素とか)、放射化分析に関する穴埋めが多い印象です。
個人的には、化学は高校の時の素養があるととても勉強がはかどります。
元素記号をあらかた覚えていたり、化学反応を理解していたりすると、計算の方法を覚えて、半減期を暗記することに意識を向ければ安定して点数を取ることができると思います。
それでは、化学の問題を解けるようにするときの個人的な考え方と押さえておくことを説明していきます。

考え方と押さえておくこと
考え方と押さえておくこと
化学では、ザックリと次のことに意識をしぼってまずは勉強していくと良いでしょう。
- 半減期や放射能単位Bq(ベクレル)の理解と導出
- 壊変形式と核反応の理解と導出
- 分析・計測装置の対応
- 自然放射線系列の記憶
主にこの4つが点を多くとるために重要な部分かと考えています。
半減期やBq(ベクレル)の理解と導出
半減期やBq(ベクレル)の理解と導出
まず、放射線を勉強する上で理解しないでテストに合格することができないものとして半減期や放射能といった要素があります。
放射能は、
- 原子核が自発的に放射性壊変してa線、β線、γ線などを放出する性質
- 原子核の単位時間あたりの壊変数(壊変率)
という二つの意味があり、その単位としてBqが使われます。
多くの問題では、この放射能を求めたり、単位質量当たりの放射能「比放射能」を求めさせる問題が多くあります。
もしくは、ひねって原子数を求めさせたりもします。最近は原子数を求めさせる問題が多いような気がします。
そして、壊変が起きて原子数が半分になる数になるまでの時間を「半減期」といいます。
重要なのは、放射性核種の質量と放射能(Bq)の関係式を覚えることです。
-dN/dt = λN
λ = 0.693 / T
N = W* 6.02 * 10^23 / M
といった式で、最終的に
A = 0.693 * N / T
の式を一番記憶しておかないといけません。
これらの式を覚え、変形しこねくり回して解答を出さなければいけないので、自分の中で自然に出てくるように何度も問題を解いて練習することが必要です。
また、半減期については原子数が分かっている状況下で、放射能を出すために必要となるため注目する必要があります。
そのほかに、ある一定の放射性同位元素に関しては、あらかじめ半減期を記憶しておく必要があるものもあります。
例えば、PET製剤でよく使用される11C, 13N, 15O, 18Fといった元素。
11C: 20.4分 13N: 9.965分 15O: 2分 18F: 109.8分
私は、2, 10, 20, 110の順番で覚えて,
一番長いのは一番大きいフッ素18F 半減期 110分
一番短いのは酸素15O 半減期 2分
と覚えておくくらいにしていたら、他の二つも覚えられました。
他にも、ヨウ素などは放射性同位体が多く、さらには安定同位体もあるのでとても厄介です。
そのような元素は問題として取り上げられやすいので、注意して覚えておきましょう!
壊変形式と核反応の理解と導出
壊変形式と核反応の理解と導出
放射性壊変に関しては、教科書だと物理の部分で解説されていることが多いですが、その内容をしっかり覚えておかないと化学でも得点できません。
主な壊変形式には、
- a壊変
- β+壊変
- β-壊変
- γ壊変
- 電子捕獲
の5つがあります。
壊変形式 | 原子番号の変化 | 質量の変化 |
a壊変 | -2 | -4 |
β-壊変 | +1 | 0 |
β+壊変 | -1 | 0 |
γ壊変 | 0 | 0 |
電子捕獲 | -1 | 0 |
これらをしっかりと頭に入れておけば、5問くらいは確実に解ける問題があります。
なので、しっかりと覚えましょう。
次に、核反応についてです。
次の核反応のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
A 11B(n, p)11C
B 20Ne(d, a)18F
C 32S(p, n)32P
D 54Fe(n, p)54Mn
放射線問題集 第59回 問9
といった問題です。
ここでは、先ほどの壊変形式が表示されているわけではありませんが、考え方が共通しています。
nやpといった壊変形式では出てこない表記文字がありますがこれらは、
n = 中性子、p = 陽子、d = 重陽子、t = トリチウム、a = a粒子
といった感じで括弧の
右側が出発物質に追加されるもの
左側が放出されるもの、つまり減るもの
と覚えて最終的に何が生成されるかを判断していきます。
核反応式もよく出るものがあって例えば
9Be(a, n)12C
などはBNCT(Boron Neutron Capture Therapy)法といわれる中性子発生装置内で起こる反応だったりするので、しっかり理解して覚えておくと良いです。
分析・計測装置の対応
分析・計測装置の対応
分析・計測装置は中々私も覚えにくかったと感じています。
分析方法に関する問題は、化学の最後の方に出てくることが多いのですが、放射性同位元素、分析・計測装置、放射線のセットで正しい組み合わせを選ぶ問題になります。
よく出たのは、
放射性同位元素 | 分析・計測装置 | 放射線 |
55Fe | 硫黄計 | 特性X線 |
57Co | メスバウアー分光装置 | 低エネルギーガンマ線 |
63Ni | ECDガスクロマトグラフ | β-線 |
60Co | レベル計 | γ線 |
55Fe, 241Am, 238Pu, 109Cd, 57Co | 蛍光X線分析装置 | 低エネルギーγ線、X線 |
85Kr | 透過型厚さ計 | β-線 |
147Pm | 散乱型厚さ計 | β-線 |
252Cf | 水分計 | 中性子線 |
241Am | 煙感知器 | a線 |
上記の表でまとめたものが覚えておくと良いものになります。
自然放射性同位元素の記憶
自然放射性同位元素の記憶
自然放射性同位元素は、
- 壊変系列を作るもの
- 壊変系列を作らないで単独で存在する者
があって、それらを1次放射性核種と呼びます。
さらに壊変して天然にできるものを2次放射性核種と呼びます。
宇宙船や天然の放射線によって絶えず作られ続けている物を、誘導放射性核種といいます。
代表的な壊変系列を作る天然の放射性核種は、ウラン系列、トリウム系列、アクチニウム系列、ネプツニウム系列とあって、質量が4n, +1, +2, +3と別れています。
どれが+1なのか2なのかといった対応をしっかりと記憶してください。
壊変系列を作らない天然放射性核種もありますが、私はそのあたりは正確には覚えられませんでした。
壊変系列を作らないものは、問題で出てきたものを随時記憶していきましたがあまり出た印象は少ないです。
以上で、化学の個人的な考え方と押さえておくところになります。
参考になれば幸いです。

まとめ
まとめ
あれこれ書いているとどうもこまかいことを書きたくなってしまいますので、この辺りでまとめておきます。
物理・化学・生物と間をまたいで理解と記憶が必要になっている部分が多いので勉強はひと教科単位で覚えていくのはあまりお勧めしません。
他の教科を並行して勉強しながら共通項を理解して問題を解いていくことができればよいのではないかと思います。
それでは、頑張ってください!
考え方と押さえておくこと
- 半減期や放射能単位Bq(ベクレル)の理解と導出
- 壊変形式と核反応の理解と導出
- 分析・計測装置の対応
- 自然放射線系列の記憶