今回は、修士論文を終えてそれまでの過程で考えたことや思ったことをまとめていきたいと思います。
こんな考え方の人間もいるのだと参考になればいいかなと思っています。
本記事の内容
- 修士論文を書き終えるまでの過程で考えたこと
- 考えたことに対する反省・振り返り
- まとめ
大学院に通い、研究をしながらブログを書いています。
こそあど(@ksad510310)と申します。
もうこの文言も使えなくなってしまいますね。
そう、修士課程を無事終えることができたからです。
なので、この機会にこれから修士課程を歩んでいく方に向けて簡単にどのような考えをもって学生生活を過ごしてきたのかまとめていきます。
修士論文を書き終えるまでの過程で考えたこと
修士論文を書き終えるためにまず考えていたことをまとめようと思います。
- トップダウンではなくボトムアップを意識する
- 教授の思考・行動原理を理解するように見張る
- 実体験した失敗を書き記し、積み重ねていく
- 他分野との交流を意識し、新しい発想を意識する
- できるだけ多くの機械に触れて使い方を覚える
- 論文化することを念頭に置いて実験をまとめる
といったことを考えていたと思います。
もっと意識していたことはあると思いますが、マインドの部分ではこのくらいですかね。
では、このように考えた理由を一つずつ説明していきます。
トップダウンではなくボトムアップを意識する
これは、研究室に所属する時点で意識しようと決めていたことです。
トップダウンは、教授からの指示に従うことでとても大切なことなのですが、それだけにとどまることなく、自らの発想も積極的に出していくことでボトムアップをはかりました。
この考え方は、この記事の本を参考にしています。

私個人としては、研究室では良くも会社のような精神を持たないといけないと考えていて、研究室の管理・維持を自らが率先して行うことによって教授を動かせないようにしていくことを考えていました。
自らやるのとやらされるのでは意味が違いますからね。
また、学年が上がっても先輩の立場においても変わらず、雑用から実験まで入ったばかりの後輩をサポートする立場に位置しようという作戦で過ごしてきました。
その成果か、姿を見てついてきてくれる後輩は何かと優秀賞を取っているので成功しているのかもしれません。(ただ後輩が優秀なだけだと思いますが、、、)
教授の思考・行動原理を理解するように見張る
研究室に所属したばかりのころは、教授が何を言っているのか理解できず、その上早口で指示が飛ぶためにその場に突っ伏すこともよくありました。
修士を卒業するころには、教授の言語も理解できるようにと論文を読み、用語も覚えていきました。
また、トラブルが起こったときは一番吸収する場面で、教授がそのトラブルにどのような対応をするのか覚えておくことは大切です。
どうしてそのような決断をしたのか、指示を実行することによってどのような利益が得られるのか、しっかり理解できるように考えました。
教授の一挙一動は、年齢の積み重ねもありますから信頼ができます。
しかし、先ほど述べたようにすべてが正しいと思ってもいけません。
自身でも教授の言動から推測できる利益を想像して議論できるようになるべきだと考えます。
実体験した失敗を書き記し、積み重ねていく
失敗は、負の側面ばかりに注目しがちですが、正の部分に注目するととても過ごしやすくなります。
研究室所属時や新しく実験系を作るときなどは、調べたりして手探りで実験を行っていきますが、いざ実行したときに失敗することなんて大半です。
そんな時は、一冊のノートに失敗したことを書き記しましょう。
この行為の利点は、こちらの記事で簡単に解説しています。

つまり、自分の失敗はしっかりとした自分の経験値としましょう。
他分野との交流を意識し、新しい発想を意識する
他分野、私の場合は生物系ですが、その中に置いても扱っている細胞腫、動物や注目しているシグナル、系によっていくらでも区分されている分野です。
ひとたび隣の研究室に出れば、知識がないために理解できないようなところばかりになります。
修士の卒業時にこのような状態でいたくないと考えていたため、自信の分野ももちろんのこと他の分野に関する知見を広める努力を行いました。
例えば、興味のある医学系、薬学系。
なぜかというと生物系の出先として一番利益に直結しやすいと考えたから。
ただ、とんでもなく有用な研究結果でもない限り、この辺りまで進めることは難しいとも考え至ったので、学問を知る程度となっています。
次に、有機化学合成。
化合物を扱って細胞内挙動を見ている方は、その扱う化合物について注目するのは当然のことなのかなとも思います。
しかし、後から知るのですが生物系の実験をしてから有機合成に取り組むのと、有機合成を行ってから生物系の実験を行うのでは、後者の方が楽だそうです。
考え方とか、作業とかが付いてこないとの話ですが、実体験から確かに脳が混乱する感覚は強かったです。
けれど、いい経験ですので知見を広めたい方は挑戦してみると良いと思います。
最後に、放射線。
これは、勉強している際には、物理色が強いという印象ですが、用途によってそのイメージは変わります。
私が主に注目していたのは、医療向けの学問です。
PETやSPECTなどがどのような原理で作動しているのかなどが理解できるのは、強みになるのではないでしょうか?
また、DDSと応用した有機合成などでも11C, 13N, 15O, 18Fを用いた新規化合物も有用とされていますし、面白いです。
広く視点を保つためにも、他分野を知ることは意識していくべきことです。
できるだけ多くの機械に触れて使い方を覚える
修士で実験ができる以上、大学内にある自身では一生買えないような様々な機械を使えるだけ使い倒してやりましょう。
これがどんな利点があるかといえば、例えばコロナウィルスの検査についてです。
コロナウィルスの検査にはどのような機械を用いるかといえば一本鎖RNAを調べるので、RNA検出に使われる、RT-PCRとリアルタイムPCRじゃないかなと考え付くと思います。
遺伝子実験を行っている研究室の学生は当然理解できることですが、「タンパクの定量ばかりでRNAに取り組んでいないんです。」なんて学生は、原理も説明できないかもしれません。
原理や必要な試薬、その制度などなども説明できない学生は、現在ネットではびこっている「検査してくれない!政府の圧力が起きている!」というような立場になるわけですね。
実際のところは、断定できないですが…。
とにかく、述べたいのは使うことのできる機械は、願い出ても使ってみることが修士生活を終えた後での選択肢を増やしていき、できることの幅が広がるということです。
NMRでもHPLCでもLC/MSでもなんでも使えるなら遠慮なく使い倒して、素晴らしい成果を挙げると良いと考えていたということでした。
論文化することを念頭に置いて実験をまとめる
私の一つの目標として、実験で成果を出し論文を投稿することでした。
これは、自身の名前が後世まで残り続けるということを考えたら誰もが目指すべき目標なのではないかと感じます。
そのためには、論文化を念頭に置いて実験することが大事です。
どうすることが、論文化を推し進めることができるかと考えていたところ巡り合ったのが白木賢太郎教授の「相分離生物学」です。
最初は、相分離生物学という学問自体に興味があったのですが、それ以上にその考え方や研究室の運営方法に感銘を受けました。
以下のリンクに記載されている内容は多くの学生が読むべきだと感じました。
簡単に言うと、2週間に一度、しっかりとデータをまとめるという単純なことです。
これがなかなか難しいと感じるが、修士を卒業するためにやっておくべき事だと感じました。
考えたことに対する反省・振り返り
これだけつらつらと意識の高そうなことを並べてきたが、すべてできたのかというとそうではないです。
しかし一部でもできていて、それを糧にこの先の仕事や目標達成に向けた最適な動きをイメージすることができるようになれば良いのだと思います。
今積み重ねたことも、今まで積み重ねてきたものも、すぐにはその大切さに気付けないものです。
なので、落ち込むことややる気をなくすことがあっても腐らず、進んでいくことが必要だと気づきました。
修士を卒業したり、大学を卒業した人たちの中には
と考えている人はいると思います。
大学を出たら自らを縛るものも、目標も、課題も少し見えにくくなります。
その中で、何もしないという思考停止状態に陥らないために常に学び続けられる人間でありたいななどと思っています。
もし、これから大学生活を歩んでいくようであれば何かを試す場にするべきです。
自分自身がどう変わるのか、周りをどう変えるのかという変化が楽しくなります。
よく言われますが、人はそう簡単には変われません。
4年と2年という長いようで短い時間でどこまでできるかわかりませんが、これからの学生には頑張ってほしいなと思っています。
そして、社会人になるので新たな試行を増やしていき、自分自身や周りの変化を楽しめる生き方をしていきたいと思います。
まとめ
一つの区切りとして、ブログの記事としてまとめさせていただきました。
まだまだブログは続けていきます。
少しでも参考になれば幸いです。
修士を終えるまでに考えたこと
- トップダウンではなくボトムアップを意識する
- 教授の思考・行動原理を理解するように見張る
- 実体験した失敗を書き記し、積み重ねていく
- 他分野との交流を意識し、新しい発想を意識する
- できるだけ多くの機械に触れて使い方を覚える
- 論文化することを念頭に置いて実験をまとめる