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[物理編]第1種放射線取扱主任者の勉強法!~考え方と押さえておきたいこと~

今回は、第1種放射線取扱主任者の物理について勉強していくうえで押さえておきたいことを紹介していきます!

本記事の内容

  • 勉強を行う前の事前知識
  • 考え方と押さえておくこと
  • まとめ

社会人となって生活リズムを意識して働いています!

こそあど(@ksad510310)と申します。

前回、生物についての勉強方法を記事にしました。

[生物編]第1種放射線取扱主任者の勉強法!~考え方と押さえておくこと~ 本記事の内容 勉強を行う前の事前知識 考え方と押さえておきたいこと まとめ 社会人となって生...

今回は、物理について考え方と押さえておくことを説明していきます!

勉強を行う前の事前知識

第1種放射線取扱主任者の物理の試験はどんなものかというと、

物理学のうち放射線に関する課目

  1. 試験時間:1時間50分
  2. 問題数:五肢択一式 30問(30点)、多肢択一式 2問(30点)(60点満点)

といった内容です。

物理学は、私個人的には五肢択一式も多肢択一式も苦手で、とにかく苦手意識が強い教科となっていました。

勉強時間も物理に一番使っていたほど、重い教科だとかんじています。

令和元年度の試験は、化学、生物と同様に大問2つがセットにされているので、危うく落ちかけるところでした。(大問1つ理解できず、6割下回ってしまったため)

しかし、5割取ることの大事さを身に染みてわかったので、諦めずに6割を取れなくても5割確実に取れるような勉強をしていくことが大事だと思います。

物理の問題の特徴としては、

  • 理論や概念の理解に関する問題
  • 核反応とエネルギーに関する計算問題
  • 光電効果、コンプトン散乱、電子対生成に関連する応用問題
  • 機械での測定に関する様々な問題
  • 量と単位に関する問題

といった内容になっていて、どれも一癖も二癖もある正しい理解が求められる問題ばかりです。

計算問題が多いと思いきや、数値の暗記や放射性核種の性質に関する知識が問われる問題もあり、様々な角度で惑わしてきます。

とにかく重要なのは、「原理」を理解することです!

それを踏まえて説明していきます。

 

考え方と押さえておくこと

勉強していくうえで考えることは、しつこいようですが原理・概念を理解すること

すべての項目において、丁寧にひとつずつ理解していることを増やしていくイメージを持ってください。

まず、最初に理解しておきたいことは次のことだと考えます。

  • 粒子の運動量とエネルギーの関係式
  • X線とγ線の違い、オージェ効果と特性X線の関係
  • 放射性壊変についての正しい理解
  • 核反応におけるメカニズム(核反応断面積、粒子フルエンス、核融合、核分裂)
  • 加速器の特徴と応用方法
  • 光電効果、コンプトン散乱、電子対生成のメカニズム
  • 中性子の相互作用

といった内容です。

格段に他の課目よりも理解することが多く、逆にこれを理解していると他の課目での現象の理解力が格段に上がります。

少し多いので軽く説明していきます。

 

粒子の運動量とエネルギーの関係式

まずは、放射線を勉強していくうえで基本となる関係式を覚えることです。

古典力学だと、粒子の質量m、速度vとすると

運動量p: p = mv

運動エネルギーT: T = 1/2mv^2

という関係式があります。高校物理でも習う関係式ですね。

しかし、速度vが光速に近づくと相対論的力学に従うため光速度cとすると、静止エネルギーmc^2と運動エネルギーをEとすると、

運動量p: p = mv / √1-(v^2 /c^2)

全エネルギーE: E = T + mc^2 = √p^2*c^2+m^2*c^4

となるわけです。

簡単に言うと、今までは運動するときの速度が光の速度よりも遅かったから簡単な式でよかったけれど、光と速度が近づくとなると光のことも考慮した計算式にしないといけないね!ということだと思います。

この式の変形を問題で出されたりするので式の意味まで理解しておくと良いです。

さらに、光子のエネルギーE、運動量p、振動数ν

E = hν、 p = E/c = hν / c

や波長λを使った

λ = h / p

といった高校の時に習ったであろう式も活用して解いていかないといけません。

 

X線とγ線の違い、オージェ効果と特性X線の関係

X線とγ線のしっかりとした区別をしない事には、放射線の理解は始まりません。

X線は、電子の運動に伴って発生する光子をいい、原子核の外側で発生する。

ガンマ線は、原子核の核子の運動に伴って発生する光子をいい、原子核内で発生する。

といった定義があります。

つまり、X線:原子核の外 γ線:原子核内 といった違いです。

このことを踏まえ、

オージェ効果は、励起状態の原子が励起エネルギーを原子核の外で起きるX線として放出するときに軌道電子にエネルギーを与え放出する現象をいう。

この時に、そもそも生じたX線がエネルギーの高い軌道電子の転移によるものだと特性X線と呼ばれます。

そのため、特性X線オージェ電子の放出は競合過程となるという知識は問題としてよく出題されます。

 

放射性壊変についての正しい理解

放射性壊変といえば、a壊変β壊変電子捕獲などがあります。

以前、化学編でも図を参照にして少し説明しました。

[化学編]第1種放射線取扱主任者の勉強法!~考え方と押さえておきたいこと~ 本記事の内容 勉強を行う前の事前知識 考え方と押さえておきたいこと まとめ 社会人となって生...

これらの、原子番号の変化、質量の変化をしっかりと覚え、元素表をある程度頭の中で展開できるくらい元素の番号が変わっても答えられるようにしておくと、問題を解くとき素早く解くことができるでしょう!

私は、アクチノイドまで元素表を暗記していたので、元素表に関しては自信がありました。

そのように、自信が持てる知識領域を作るようにしましょう!

 

核反応におけるメカニズム

核反応の式については、化学で少し触れたと思いますがそのメカニズムについては物理の方で問題として確かめられます。

飛び出してきた入射粒子が物質を照射したとき標的核と衝突する確率を考えるとき、入射粒子が毎秒S cm^2の面積に1個の割合で照射されると仮定します。

標的核の原子密度N cm^-3として物質の厚さをl cmとすると、

まず体積は、S cm^2*l cm = Sl cm^3 となります。

つぎにS cm^2中の原子数は、SlN個、原子核の断面積σ cm^2とするとS cm^2中で原子核の占める面積はσSlN cm^2となります。

入射粒子がこの面積中に入れば原子核反応が起きるとすると毎秒当たりの原子核反応の起こる確率Pは

P = σSlN / S = σlN (s^-1)

といったことや粒子フルエンスなどは大問の問いで穴埋め記述の際に使われることが多いです。

確認しておきましょう!

 

加速器の特徴と応用方法

加速器は、特徴との対応を問われる問題が毎年1問くらい出されます。

以下の表を覚えておくと良いでしょう。

加速器 電場 磁場 加速粒子イオン
コッククロフトウォルトン 直流電場 電子・イオン
ファン・デ・グラーフ 直流電場 電子・イオン
直線加速装置 交流電場 電子・イオン
サイクロトロン 交流電場 直流電場 イオン
ベータトロン 誘導起電場 交流電場 電子
シンクロトロン 交流電場 交流電場 電子・イオン
蓄積リング 交流電場 交流電場 電子・イオン

静電型高周波型というのも記憶しておいた方が良い点です。

問題やテキストで確認しながら逐次メモしていきましょう!

 

光電効果、コンプトン効果、電子対生成

光電効果コンプトン効果電子対生成はセットで覚えておくべき現象です。

光子の中で電離放射線にX線とγ線がありますが、この二つはどちらも電磁波で物理的には同じものになります。

光子は電荷をもたないので、荷電粒子のように物質中を進むにつれてエネルギー損失を起こすことなく、光電効果やコンプトン効果、電子対生成によってエネルギーを電子に与えていきます。

光電効果は、光子が軌道電子にエネルギーを与え、軌道電子が原子から飛び出す現象をいいます。

軌道電子が原子から飛び出す要因は、軌道電子の結合エネルギーが判断基準となっていて、結合エネルギーよりも低いと軌道電子を飛び出させることはできません。

コンプトン効果は、光子と軌道電子の衝突によって電子が飛び出すとともに、結合エネルギーより過剰なエネルギー分が散乱光子として飛び出す現象のことです。

そのため、散乱光子と反跳電子についての軌道を考えなくてはいけません。

コンプトン効果については、物理の問題で絶対に出る問題ですし、割合も比較的多いので間違えられない部分です。

逆に言えば、稼げる得点源ですのでしっかりと理解しておくべきです。

電子対生成は、光子が原子核の強い電場に吸収され、電子と陽電子を生み出す反応を言います。

そのため、光子のエネルギーは電子の静止エネルギーの2倍1.022 MeV以上でないと起きません。

電子対生成は、頻繁には出ませんが機械での検出や理解を問う問題などもあるので注意してください!

 

中性子の相互作用

今までは、光子や荷電粒子の話が多く、実際それらに関連した問題は多いので覚えることも多いのですが、非荷電粒子であり、質量が重い中性子についても理解しなければいけません。

中性子だけの性質は、一つのカテゴリとして覚えておきましょう!

中性子にも、熱中性子熱外中性子速中性子とエネルギーの分布によってその分類は変わっています。

半減期615秒で壊変し、n → p + e- + ν

といった知識もたまに試験で出ます。

中性子を生成する核反応弾性散乱中性子核反応など覚えておきましょう!

 

各項目詳しい内容までは書きませんでしたが、どの項目も過去問をやっていると必ず突き当たる問題が多いです。

ぜひ、意識して勉強にあたりましょう!

 

以上が、物理の個人的な考え方と押さえておくことでした。

 

まとめ

物理は、高校で勉強していたとはいえ新しい知識が多くて覚える概念、現象、原理が多くてとても時間と根気のいる課目でした。

わからないときには、わかる人への質問はとても大事ですし、理解できなければ理解して人に説明できるようになるくらいまでしっかりと突き詰めることも大事です。

かくいう私も、理解しきれない部分もありながらもなんとか試験を乗り越えることができたので、丁寧に丁寧に理解することを意識してください。

令和2年度の試験は延期してしまいましたが、逆に言えば勉強する時間が増えたとも考えられるので、ポジティブに捉え、勉強していきましょう

考え方と押さえておくこと

  • 粒子の運動量とエネルギーの関係式
  • X線とγ線の違い、オージェ効果と特性X線の関係
  • 放射性壊変についての正しい理解
  • 核反応におけるメカニズム(核反応断面積、粒子フルエンス、核融合、核分裂)
  • 加速器の特徴と応用方法
  • 光電効果、コンプトン散乱、電子対生成のメカニズム
  • 中性子の相互作用